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「ふわふわな午後」
「僕とお茶しない?」
階段の上から降るように声が飛んできた。見上げるとキラキラした髪がふわふわして、なんだか変にほっとしてしまった。
「え?今日はこれから用事が」
急いで、近くにあったカバンを手に取るとまた、声の主の方をじっと見てみる。
下級生?あれ1年生にこんな子いたっけ?
「ちょっとだけ。ね?ちょっとだけだから…」
そのふわふわ頭の男の子は、私の手を取ると階段を、ぐいぐい登っていこうとする。

「ちょ、ちょっと待った〜っ」
でも、オヤ?なぜ下に降りない?お茶しに行くんじゃないのか?

頭の中にクエスチョンマークが一杯でこぼれ落ちそうになるのもおかまいなしに、彼は
私の手をつかんだまま、上の階へ。

「いいからいいから、僕とお茶しよう♪」

なんか、かわいい顔して強引な男の子だなぁ、とか思いつつ、せっかくのお誘いなんだから、断ったら上級生としては良くないよなぁ…とか自問自答しつつ。

上の階へ上がると、そのまま彼は手をひいてある教室へ入っていく。

なーんのことはない、そこは茶道部が使っている部室であった。
それも、部員が少なくて、次の生徒会の話し合いでもしかしたら廃部になる、とまことしやかに噂に上がっていた、茶道部。

「ささ、お茶しよう♪」

彼は慣れた手つきで、イスをさっとひいてくれると、かわいいバラ柄のお茶セットを
いそいそと持ってきてくれた。
あ、かわいい♪ こんな茶器セットがあるとおうちの勉強もはかどりそうよねえ…

にこにこにこ♪

あぁ、いかんいかん。自然と顔がほころんで来るのが自分でも判る。

こぽこぽこぽ。
彼の綺麗な手が、バラ柄のポットに添えられて、それに見蕩れてウットリしてしまった。

「やぁねぇ…。お茶しないっていうからどこのお店に拉致されるのかと思ったら」

でもそこまで言うのが精いっぱい。

にこにこにこ♪
なんだか彼の笑顔って癒されるんだ。

ふんわりバラ柄のカップを、大事そうに持って飲んでいる彼を見ていたら、なんだか
周りが素敵に見えてきた。

「じゃ、お姉さんの名前ここに書いて♪」
こうして、うちのガッコの弱小茶道部は、見事部員ひとりを獲得した。

「お姉さんとお茶しません?」
うちのガッコの階段は、魔の茶道部おさそいホイホイとして、恐れられている。

テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

コメント
コメント
さすらいペット
ブログに遊びに来て頂いて、有難うございます。
HPも有りますので、北陸に遊びに来られましたら、
参考にして頂けると、嬉しいです!!
まずは、ご挨拶まで。
2012/07/17(火) 21:49:25 | URL | RZV #lvQxy5zs [ 編集 ]
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